グラファイトはなぜ電気伝導性に優れているのか?

鉱物界には、その見た目とは裏腹に驚異的な特性を持つ素材が数多く存在します。今日は、そんな素材の一つである「グラファイト」に焦点を当ててみましょう。黒鉛とも呼ばれるグラファイトは、鉛筆の芯としてお馴染みですが、実は電気伝導性に優れており、様々な工業分野で重要な役割を担っています。
グラファイトの構造と性質
グラファイトは、炭素原子だけで構成された結晶性の非金属鉱物です。その特徴的な構造は、炭素原子が六角形の平面状に結合し、これらの平面が互いに平行に積み重なっているというものです。この積み重ね構造において、各炭素原子は隣接する3つの炭素原子と共有結合を形成し、残りの1つの電子は自由に動き回ることができるようになります。これがグラファイトの優れた電気伝導性をもたらす要因です。
さらに、グラファイトの層間結合は弱いため、層が滑りやすく、潤滑剤としての利用も可能です。
グラファイトの特性 | 詳細 |
---|---|
化学組成 | 炭素 (C) |
結晶構造 | 六方晶系 |
硬度 | 1-2 (モース硬度) |
比重 | 2.09 - 2.23 |
融点 | 約3650℃ |
グラファイトの用途
グラファイトの優れた電気伝導性と潤滑性を活かした用途は多岐に渡ります。
- 電池: リチウムイオン電池などの二次電池の電極材料として、高いエネルギー密度を実現しています。
- 電気炉: 高温で使用する電気炉の電極や抵抗体材料として、耐熱性と電気伝導性を両立させています。
- 潤滑剤: 機械部品の摩擦を低減する潤滑剤として、高温・高圧下でも安定した性能を発揮します。
グラファイトの生産
天然グラファイトは、世界各地で産出されていますが、品質や純度は様々です。主要な産地としては、中国、インド、ブラジルなどが挙げられます。
近年では、人工グラファイトの製造技術も進歩し、高純度・高性能なグラファイトを安定的に供給することが可能になっています。人工グラファイトは、高温で炭素源を加熱し、結晶化させることで製造されます。
グラファイトの将来性
エネルギー貯蔵や電気自動車の普及といった社会的な流れの中で、グラファイトの需要はますます高まると予想されています。特に、高性能なリチウムイオン電池の開発には、高純度・高結晶性のグラファイトが不可欠です。
また、カーボンナノチューブなどの新しい炭素材料の開発にも、グラファイトが重要な原料として利用されています。
グラファイトは、その歴史と特性から、今後も様々な分野で活躍が期待される素材と言えるでしょう。